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2012-10-29-Mon-21:45

【 ドラマ映画 】 『アルゴ』★★★★☆

たいへん面白い映画を観ました。ベン・アフレックが監督・主演を務めた『アルゴ』、1979年の在イラン米国大使館占拠事件の裏で実行されたアメリカ人救出作戦を基に描いたドラマです。

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登場人物が多くて政治も絡んできてて複雑そうなお話が、2時間でまとめられています。でもこれがすごく分かり易いんです。もっとすごいことに、上滑りするような語り口にはなっていなくて、血が通ったドラマを体験することができたんですね。
というのも、エピソードの切り取り方や小道具の使い方がスマートなんです。非常にうまく取捨選択がなされているから、それぞれの事象や人物についてじっくり時間を使っているわけではないのに、すんなり事態を飲み込めて、キャラには温度を感じることができたんだと思います。

例えば、カナダ大使館に逃げ込んでいる6人のアメリカ人。個々にあまり寄ってはいかないのですが、僅かな場面でも、時間ごと・人物ごとに表情を対比させることで、説得力やドラマが出来上がっているんですね。

主人公であるメンデス(ベン・アフレック演じるCIA局員)と、彼の息子との関係性を示すシーンなんかは、それこそほんとごく僅かしかないのですけれど、十分に語られているように思えちゃうからすごいなあと思いましたね。
遠く離れて滅多に会えない父子が電話で話すシーンなんかね、これは、メンデスが息子に「今、何してるの。」って聞いて息子が「テレビで映画観てるよ。『最後の猿の惑星』。」って答えたから、メンデスがテレビを同じチャンネルに合わせて観る、っていうものなんですけれどね、これは<アルゴ作戦>を思いつくきっかけとして描写させているのと同時に、父親が息子と会えない代わりに、同じものを「一緒に」楽しんでいる、という場面でもあるわけです。たったそれだけのことだけど、メンデスが作戦から無事に帰還して、どうしても息子のもとへ帰らなくちゃいけないっていう想いが、表されていると思うんですね。ここが物語のひとつの到達点になるわけです。政治がどうとか、どの国が良い悪いとかよりも、シンプルな活劇として、「一人の父親、一人のプロとして果たさなきゃいけない任務」として、観ることができる。それは、こうやって主軸がちゃんと形成されているからだと思うんです。

そして、<アルゴ作戦>。
メンデスがカナダの映画プロデューサーに扮してイランに入国して、逃亡中のアメリカ人6人を製作スタッフに仕立て上げて共に出国するという、演出ではリアリティを徹底的に追求しながら、まさかそんなのうまくいうんですかっていう、しかもそれが国をあげての大ボラだなんて、やるわけなさそうなことを本当にやってのけてしまった、という事実。作戦そのものは、実際は地味で知力に舌を巻くようなものではないのですけれどね。ああ、やっちゃうんだ、ほんとにやった。うわーやばいよやばいよ。っていうね、わくわくとドキドキが止まりません。「クソの中で飛び切り優秀な策」だなんて、オドネル副長官補佐はよいキャッチコピーを思いついたものだなあと思いました。

ハリウッドの映画人としてアラン・アーキンジョン・グッドマンが出演していて、この2人がいっぱい笑わせてくれます。緊迫したストーリーの中にも息抜きするポイントがあって、バランスにも優れた映画だと思いました。

余談ですが、僕は短髪とベン・アフレックのケツアゴが好きなので、本作のベン・アフレックのルックスはいただけませんでした。ARGO,F**KYOURSELF!!

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【上】早く脱出させないとシュレッダーにかけた写真が修復されて逃走中の6人の顔が割れちゃう!
というくだりが生かされたポスター。このエピソードのおかげで終盤ちょう焦って面白くなりますね。

ではまたお目に掛かりましょう。
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2012-10-06-Sat-23:30

【 ドラマ映画 】 『俺たち喧嘩スケーター』★★★★

ショーン・ウィリアム・スコット主演の『GOON』を観ました。
『俺たち喧嘩スケーター』なんていうおバカコメディ系の邦題になっていますが、中身はわりと真面目なドラマ。笑えるシーンもけっこうあるんですけれどね、コメディというには大人しい。いつもエヘエヘ笑いながら人に迷惑をかけるショーン・ウィリアム・スコットも石頭・馬鹿力なだけで良い子(…と呼ぶべきキャラとルックスなんですけどね、三十路も半ばなんですねこの人)。それで期待はずれだったかというと、そんなことはなくて。なかなか響くものがある、頑張るおバカの映画でした。

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ひょんなことからプロアイスホッケーチームへの入団が決まったダグ。氷の上を滑った経験すらないダグに任された仕事は、相手チームのタックルから仲間を守り、時には相手選手を殴り倒す「用心棒」で…というストーリー。
ぶっとんでるようで、実話に基づいた話なんですよこれ。ナニソレいいのって思いましてね、DVD一時停止して調べたんですけどね、アイスホッケーの試合中の「殴り合い」はよく見られる光景らしいんですよ。ペナルティが小さいから暗黙の殴り合いのルール定めて戦略的に喧嘩するところもあるらしいんですね。「素手で勝負すること」みたいな。劇中でも、選手がおもむろにグローブ外し始めたら「さあ始まりますよ!」って、解説さんがもう、試合の一部として実況してるんですね。「強烈なアッパーです!」って。何の試合なんですか。これ、観るのには知っておかないと混乱しますね。

この映画はですね、チームスポーツを扱っているのに、主役のダグに焦点を絞って語られるんですね。これが異色なんですけれど、良かったんです。表情に寄った作りで、コンパクトで、うるさくない。
ダグの家は、父と兄が医者で、自分だけ頭が悪くてのらりくらりしてるのを、すごく気にしてるんですね。いつかは父にほめて欲しいと思ってるんです。そんな自分に舞い込んできた、プロスポーツチームへの入団というチャンスを逃すまいとしがみつきます。チームの雰囲気は決して良くないし、両親は野蛮なプレイにドン引き。それでもダグはチームのために尽くすと宣言するんですね。彼の言葉には偽りがない。純情さが彼の魅力なんですね。
ダグはただ、自分に「役割」が欲しいんですよ。何でもいいから、認めて欲しい。だから、自分を見出してくれたチームにはガッカリされまいとする。父を喜ばせることはできなくても、兄のようにはなれなくても、ホッケーの才能がなくても、自分の存在を証明するんです。切ない!

クライマックスの殴り合いシーンのアップやスローは効果的で、そこらのアクション映画より興奮しました。スケート靴で足元がお留守になるところをカメラワークと編集で完璧にフォローしていました。壮厳なBGMはかっこいい半分、ホッケーはどうしたの!半分で楽しいです。

言葉遣いがひどすぎる友人役にジェイ・バルチェル、ライバルの喧嘩プレーヤーにリーヴ・シュライヴァーなど、脇役の好演も光ります。リーヴ・シュライヴァーは今回も「凶暴なんだけど根は良い奴」でした。笑顔が可愛い。

レンタルのみで、セル版のリリースが未定なのが残念。おすすめです。
ではまたお目に掛かりましょう。
2012-08-13-Mon-23:44

【 ドラマ映画 】 『桐島、部活やめるってよ』★★★★★

今年は邦画に勢いがあっていいですね。大好きな吉田大八監督の最新作が公開したので観てきました。『桐島、部活やめるってよ』です。
キャラクターのいびつな部分に寄って掘り下げる手腕と、クライマックスの劇的な演出は今作でも冴えていて、たいへん面白かったです。

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「バレー部のキャプテンの桐島が部活をやめる」という噂が校内を駆け巡り、桐島不在で事の真相が不確かなまま、生徒たちの間で変化が起こっていく。というお話。

高校の中で形成されるヒエラルキーが細かに描写されていて、みんなにとって桐島がどんな存在なのか、それぞれの立ち位置からの捉え方が興味深いです。キャラクターの誰がしかに、自分を当てはめることができるんじゃないでしょうか。帰宅部の人たちがつるんで帰るのに、映画部の前田は一人で映画を観に行ってるとか、そうですね、そうですよね、とか思っちゃいます。会話や行動パターンの細部にリアリティが盛り込まれていて、思わず顔がニヤけてしまったり、ひきつってしまったりしましたね。
同じ時間帯をリピートする演出は、だるい繰り返しにはなっていなくて、主な視点に据えられたキャラクターの個性が掘り下げられていくので、パズルのピースのように組み上がっていくように感じて気持ち良いです。

あと、帰宅部の菊池の人物像と、「できる奴は何でもできて、できない奴は何もできない。」という言葉は、胸に巣くいますね。ああいうキャラにスポットが当たるということが、まず珍しいと思しましたし、良かったと思いました。

菊池は、爽やかなルックスで、友達もそれなりにいて、見た目そこそこな彼女もいる。何をやっても人並みかそれ以上にできるのに、突き抜けたものを発揮するには至らなくて、没頭もできない。ハイクラスな器用貧乏なんですね。流され流され、そんな自分に納得がいっていない。求めるもののレベルは、たぶん高いんですよね。もどかしい。菊池はどうしても桐島のようなスターにはなれないんです。いつも、その後ろにいるんだと思います。

菊池は、「何でもできる」けど「何にもできない」んですよ。

桐島に、菊池は何を伝えたかったのでしょう。「ふざけるな。みんながお前のようになりたくても、なれないんだぞ。」と、きつい言葉をぶつけるかもしれません。
または、「戻ってきてくれ、みんなが待っているうちに。」と、野球部をやめて、本当の居場所が見つからない自分の立場からの言葉を投げかけるのかもしれません。

僕がいちばん立ち位置が近いのは映画部の前田なのでしょうけれども、僕の中で、主人公は帰宅部の菊池だったのですね。菊池、かっこいいよ!悩んで、もっと悩んで、なりたい自分を選ぶんだよ!僕みたいには、なるな!

学生だったことのある人におすすめです。では、またお目に掛かりましょう。
2012-07-17-Tue-05:30

【 ドラマ映画 】 『アメリカン・ビューティー』★★★★★

とても素晴らしい映画を観ました。サム・メンデス監督の『アメリカン・ビューティー』です。2000年にアカデミー賞5部門を受賞してます。

主人公のレスターはさえない中年サラリーマン。彼が1年以内に死ぬ、というナレーションから映画は始まります。家庭も仕事もボロボロで、へらへらと媚びてなんとか均衡を保つので精一杯、唯一の楽しみは朝イチのオナニー。レスターはすっかりくたびれていました。そんな中、娘の同級生の美しさに心がときめきます。それから、レスターは活力を取り戻していくのですが、これまで保ってきた均衡は崩れ…というお話。

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媚びることをやめたレスターから溢れるエネルギーが痛快。ばかっぽいところがほとんどなのですが、変わりたいと思う人になら、共感を呼ぶであろうピュアな力強さがいいですね。ビューティーに魅せられて、心が動くならば、人生は錆び付かない。生きる力は、感動から生まれるということが、テーマになっていると思うんです。
でも、その躍動が長続きしないことも、映画は言っているんですね。人生は、あくまで些細な感動の積み重ねなのよ、と。そうして、退屈な日常にポジティヴな眼差しを向けてもいるんです。明日頑張れる、そのくらい思えるものが時々あれば、それが、愛おしい人生の形を成していく。今は気付かないかもしれないけど、そのうち。そんなところが独創的で、刺さってきましたね。

このドラマのほかに、レスターはこの後、なぜ死んでしまうのか?という謎解きも加わってくるんですね。事故?自殺?それとも殺されるのか?しかも、みんながみんな、怪しくなってくる。うまいなぁと思いました。テーマ構築だけじゃなくて、破綻した家庭事情をスリリング且つユーモラス描いたエンターテイメントになっている。これがすごいんです。ほんとうに、ただ楽しい。どうしようもない悲劇になりそうなところを、嘘っぽくせずに。
そうして、『アメリカン・ビューティー』は、僕のビューティーになり得たわけです。明日頑張れる、と思える力をくれる映画だと思います。おすすめです。

ではまた、お目に掛かりましょう。
2012-05-19-Sat-00:53

【 ドラマ映画 】 『ファミリー・ツリー』★★★★☆

今回は、ジョージ・クルーニー主演の『ファミリー・ツリー』を観てきました。とても良かったです。フォックス・サーチライトのブランド力、揺るぎません。

仕事一筋だった男が、妻が事故で昏睡に陥ったことをきっかけに、家族と向き合うことになるのですが…というお話。<家族とは、島のように、個々を束ねてひとつである一方で、やはり離れているのだ。>という言葉が冒頭にありましたが、裏返すこともできますね。そんな“繋がり”を思わせてくれる映画でしたね。

family-tree-movie.jpg
おっさんが指さす先にいるのは、どこか憎めないクソガキのシド君。

この映画で面白いのは、まず1つ目に、人の表裏の表情を、自然に描き出しているところ。平坦な「キャラ」ではなくてですね、人間ってもっと面倒くさくて深いんだぞとばかりに、血が通った人間がたくさん出てくるので、見応えがあります。はじめ意外性があるように感じた言動も、納得できて、現実味を噛み締められるような。気持ちの良い、ライブ感…というのはヒューマンドラマ向きの表現ではないような気もしますが、その世界観に入り込めたのは間違いないのです。

2つ目は、この映画のポジティヴな雰囲気。妻が昏睡し、死へと近づいていく一方で明らかになっていく家族問題。そんなただならぬ事態の中で、温かみを覚えられるのは、舞台であるハワイのロケーションと音楽のせいばかりではないと思うのです。大きな安心感は、ジョージ・クルーニー演じる主人公の理知的な人物像から来てると思うのです。応援したくなるのも、キレイに収まるのも、この人柄のおかげ。困難を受け入れ、さらに大きな男になるんです。あぁかっこいい。サンダルでばたばた走って…運動音痴が見え隠れしたんですけど、これまでのジョージ・クルーニーで一番かっこいい。静かだけど、目とか息づかいとかでしっかり伝えてくるクルーニーの演技がまた、すごく良いですね。
あと、理知的なクルーニーパパが物言う時っていうのは、よっぽどなんだなーと思えるから、彼が「オイコラ。」って言う場面はすげースカッとするんですよ。あっ、パパがバカに怒ったぞ!あくまで静かに!いえい!って。こっちが程よく溜まってきたところでのコラ!はいいです。思えば、ちっとも置いてけぼりにされない映画でした。

若手も含めた自然な演技、多面的な物語、説得力のある人物描写、ハワイの温かい風景と音楽。どれを取っても見事、まだまだ視点を変えて見直してみたくなる映画。おすすめです。
ではまた、お目に掛かりましょう。
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